この試験は、物質が高温状態にさらされたときの安定性を測定し、その物質が輸送するのに危険すぎるかどうかを判定するのに用いられる。
13.6.1.2.1 以下の装置が必要である。
13.6.1.2.2 物理的および熱的特性が試験試料と同様な不活性物質を、比較物質として用いる。
13.6.1.3.1 新しい物質を取り扱う際、その性質を明らかにするため、少量の試料を 75℃で 48 時間加熱することを含むいくつかのスクーリング試験を行う。少量の物質を用いて爆発反応が起こらない場合は、13.6.1.3.2 または 13.6.1.3.3 に示す手順に従う。爆発や発火が起これば、その物質は輸送するには熱的に不安定過ぎる。
13.6.1.3.2 器具を用いない試験: 50 g の試料を秤量しビーカーに入れ、蓋をして炉に入れる。炉は 75℃に熱しておき、試料は 48 時間または発火か爆発どちらでも早い方が起こるまで、炉内温度で保持しておく。発火や爆発が起こらなくても、なんらかの自己発熱が起こったという証拠、例えば発煙や分解などがあれば 13.6.13.3 に示す手順に従う。しかし、物質が熱的に不安定ないかなる証拠も示さない場合は、熱的に安定とみなされ、この性質に関するそれ以上の試験は必要でない。
13.6.1.3.3 器具を用いる試験: 100 g の試料(または密度が 1000 kg/m3の場合は 100 cm3)を1つの試験管に入れ、同量の比較物質を別の試験管に入れる。熱電対 T1 と T2 は、それぞれの物質の高さの中央で試験管に挿入する。熱電対が試験される物質と比較物質双方に関して不活性でないならば、不活性な被覆で覆う。熱電対 T3 と蓋をした試験管は、図 13.6.1.1 に示すように炉の中に置く。試料と比較物質の温度差(もしあれば)を、試料と比較物質が 75℃ に達した後 48 時間の間、測定する。試料の分解の形跡を記録する。
13.6.1.4.1 器具を用いない試験の結果は、発火または爆発が起これば“+”、変化が観察されなければ“-”とみなされる。器具を用いた試験の結果は、発火または爆発が起こるかまたは 3℃以上の温度差(すなわち自己発熱)が記録された場合は“+”とする。発火や爆発が起こらず 3℃未満の自己発熱が記録された場合は、その試料が熱的に不安定かどうかを判定するため、追加試験および/または評価が必要である。
13.6.1.4.2 試験結果が“+”であれば、その物質は輸送するには熱的に不安定過ぎるとみなされる。
物質 | 観察 | 結果 |
70 % 過塩素酸アンモニウム 16 % アルミニウム 2.5 % カトセン 11.5 % バインダー |
酸化反応がカトセン(燃焼速度触媒)上で起こった。 試料の表面は変色したが、化学的分解は起こらなかった。 |
- |
PETN/ワックス 91/10 | 無視しうる質量減少 | - |
RDX/22 % 水湿 | 質量減少<1 % | - |
ゼラチンダイナマイト (NG 22 %, DNT 8 %, Al 3 %) |
無視しうる質量減少 | - |
ANFO爆薬 | 質量減少<1 % | - |
スラリー爆薬(注) | 無視しうる質量減少、僅かの(結果として起こる)膨脹 | - |
(注) 様々なタイプ
図 13.6.1.1: 75℃熱安定性試験実験装置
(A) | 加熱炉 | (B) | ミリボルトメータ(T1-T2) |
(C) | ミリボルトメータ(T3) | (D) | 栓 |
(E) | ガラス管 | (F) | 熱電対No.1(T1) |
(G) | 熱電対No.2(T2) | (H) | 試料 100 cm3 |
(J) | 熱電対No.3(T3) | (K) | 比較物質 100 cm3 |