16.5 シリーズ6 タイプ(b) 試験規定
16.5.1 試験6 (b): 積み重ね試験
16.5.1.1 はじめに
これは爆発性物質あるいは物品の包装品、または爆発性物品の無包装品について、爆発がひとつの包装品から他の包装品へ、またはひとつの無包装品からほかの無包装品へ伝播するかどうかを判定するための試験である。
16.5.1.2 装置および材料
以下のものが必要である。
- 物質または物品を起爆させるための雷管
- 物質または物品を確実に点火させるのに十分な点火装置
- 適切な密閉材料
- 証拠板として、3 mm 厚の軟鋼板
爆風圧測定装置を用いることができる。
16.5.1.3 手順
本試験は、爆発性製品の包装品の積み重ねあるいは無包装品の積み重ねについて、いずれも輸送時の条件および形状において適用される。爆発性物品が包装せずに運ばれる場合には、試験は無包装の物品に適用される。全体積が
0.15 m3 になるのに十分な包装品または物品を、地上に置いた鋼製証拠板の上に積み重ねる。個々の包装品(または無包装の物品)の体積が 0.15 m3を超える場合は、少なくとも一個のアクセプターを、個々の製品間に最も相互作用がありそうな位置に置いて試験を行う (16.3.1参照)。その位置がわからないときは、数個のアクセプターを用いる。望ましい密閉の方法は、試験される包装品と同じような形状およびサイズの容器に土や砂を一杯に詰め、試験される包装品の周りにできるだけ近づけて置き、密閉の厚さがどの方向にも最低
1 m となるようにする。別の密閉方法としては、土や砂を一杯に詰めた箱や袋を積み重ねたものの周りあるいは上に置くか、またはばら砂を利用する方法がある。ばら砂を利用する場合には、隣接した包装品あるいは無包装物品の隙間に砂が入らないように、積み重ねたものを覆うか保護する。包装せずに運ばれる物品は、包装品に類似したやり方で密閉する。起爆刺激あるいは点火刺激のいずれを用いるかは、以下を検討して決める。
16.5.1.4 包装物質の場合:
- その物質が爆轟により機能すると予想されるならば、標準雷管(付録1)を用いて試験する。
- その物質が爆燃により機能すると予想されるならば、ひとつの独立した包装品内の物質に確実に点火するのに十分な点火装置(ただし黒色火薬 30 g 以下)を用いて試験する。点火装置は包装品内の物質の中心に置く。
- 爆発物としての利用は想定していないが、暫定的にクラス1とされた物質は、タイプ6(a) 試験の結果が“+”となった起爆方法のいずれかを用いて試験する。
16.5.1.5 包装物品および無包装物品の場合:(注2)
- それ自体が起爆あるいは点火手段を持つ物品
- 積み重ねた試料の中心近くにある包装品の中心にある物品の機能を、物品自体の起爆あるいは点火手段で刺激する。それが不可能な場合は、物品自体の起爆あるいは点火手段を、必要な効果を持つ別の刺激形態に置き換えることができる。
- それ自体は起爆あるいは点火手段を持たない物品
- ⅰ) 積み重ねた試料の中心近くにある包装品の中心にある物品を設計モードで機能させる。
- ⅱ) 積み重ねた試料の中心近くにある包装品の中心にある物品を、同一効果で機能させられる別の物品で置き換える。
注2: ただし、非常に少量の隔離区分Aの物質のみを含む物品の場合は、十分な数のそのような物質を同時に起爆して、0.2 g 以上の起爆薬が爆発するようにする。
16.5.1.6 点火あるいは起爆の位置は、積み重ね試料の中心近くの包装品の中とする。無包装で運ばれる物品は、包装された物品と同様の方法で試験する。
16.5.1.7 物質または物品を起爆し、次の事項について観察する: 熱効果、飛散効果、爆轟、爆燃または包装品の全内容物の爆発の証拠。起爆後は、試験機関が定める安全待機時間を遵守する。決定的な結果(例えば全内容物の爆発)が起こらなければ、試験は3回行う。この推奨回数の試験結果では結果の明確な説明ができない場合には、試験回数を増やす。
16.5.1.8 試験判定基準および結果査定方法
試験6(b) において1個以上の包装品または無包装物品の内容物の爆発が事実上瞬時に起こった場合、その製品は危険等級 1.1 とされる。その証拠としては、以下のものがある:
- 単一包装品または無包装品の試験の時に比べて明らかに大きい試験場所のクレーター
- 単一包装品または無包装品の試験の時に比べて明らかに大きい積み重ね試料の下の証拠板の損傷
- 単一包装品または無包装品の試験の時に比べて著しく大きい爆風圧
- 殆どの密閉材料の激しい破裂および飛散
その他の場合には、引き続き試験6(c) を行う。
16.5.1.9 試験結果例
試験される包装または物品によって著しく異なるため、試験結果例は示さない。