化学物質の爆発安全情報データベース

16.4 シリーズ6 タイプ(a) 試験規定

16.4.1 試験6(a): 単一包装品試験
16.4.1.1 はじめに

この試験は、単一包装品について、内容物が大量爆発するかどうかを判定するための試験である。

16.4.1.2 装置および材料

以下の物が必要である。

  1. 物質または物品を起爆させるための雷管
  2. 物質または物品の点火を確実にするのに十分な点火装置
  3. 適切な密閉材料
  4. 証拠板として 3.0 mm 厚の軟鋼板

爆風測定装置を使うことができる。

16.4.1.3 手順

16.4.1.3.1 本試験は、輸送される状態および形状における爆発性物質および物品の包装品に適用される。爆発性物品が包装されずに輸送される場合は、試験は無包装物品に適用される。起爆刺激または点火刺激のいずれを用いるかは、以下の条件により決定する。

16.4.1.3.2 包装物質の場合:

  1. その物質が爆轟により機能すると予想されるならば、標準雷管(付録1)を使って試験する。
  2. その物質が爆燃により機能すると予想されるならば、包装内の物質に確実に点火するのに十分な点火装置(ただし黒色火薬 30 g 以下)を使って試験する。点火装置は、包装の中の物質の中心に置く。
  3. 爆発物として使われることが意図されてはいないが、暫定的にクラス1に入っている物質の場合は、まず標準雷管(付録1)を使って試験し、爆発が起こらなければ、上記 b の点火装置を使って試験する。試験シリーズ1タイプ(a) 試験で結果が“-”(爆轟の伝播なし)の物質の場合は、雷管を使った試験は省略することができる。試験シリーズ2タイプ(c) 試験で結果が“-”(爆燃なしあるいは遅い爆燃)の物質の場合は、点火装置を使った試験を省略することができる。

16.4.1.3.3 包装物品の場合(注1)

  1. それ自体が起爆あるいは点火手段を備えている物品:
  2. それ自体が起爆あるいは点火手段を備えていない物品:

注1: ただし、非常に少量の隔離区分Aの物質のみを含む物品の場合は、十分な数のそのような物質を同時に起爆して、0.2 g 以上の起爆薬が爆発するようにする。

16.4.1.3.4 包装品を地面上の鋼製証拠板の上に置く。望ましい密閉の方法は、試験される包装品と同じような形状およびサイズの容器に土や砂を一杯に詰め、試験される包装品の周囲にできるだけ接近して置く(0.15 m3 を超えない包装品の場合は、密閉の厚さがどの方向にも 最低0.5 m、0.15 m3 より大きい包装品の場合は 最低1.0 m)。別の密閉方法として、土や砂を詰めた箱あるいは袋を包装品の周りおよび上に置くか、ばら砂を使用する方法がある。

16.4.1.3.5 物質または物品を起爆し、次の事項について観察する: 熱効果、飛散効果、爆轟、爆燃または包装品の全内容物の爆発の証拠。起爆後は、試験機関が定める安全待機時間を遵守する。初期に決定的な結果(例えば全内容物の爆発)が起こらなければ、試験は3回行う。この推奨回数の試験結果では結果の明確な説明ができない場合には、試験回数を増やす。

16.4.1.4 試験判定基準および結果査定方法

大量爆発(モデル規定 2.1章の定義参照)は危険等級1.1の候補であることを示す。それを示す証拠として、以下のものがある。

  1. 試験場所のクレーター
  2. 包装品の下にある証拠板の損傷
  3. 爆風圧の測定
  4. 密閉材料の破裂および飛散

製品が危険等級1.1に属するとされた場合には、その後の試験は必要ない。その他の場合には、続いて試験 6(b) を行う。

16.4.1.5 試験結果例
物質 包装状態 起爆方法 事象 結果
過塩素酸アンモニウム
(12μm)
10 kg ファイバーボードドラム 雷管 爆轟 危険等級1.1候補
マスクキシレン 50 kg ファイバーボードドラム 雷管 局部的分解 危険等級1.1でない
マスクキシレン 50 kg ファイバーボードドラム 点火装置 局部的分解 危険等級1.1でない
シングルベース発射薬
(非多孔状)
60 リットルファイバーボードドラム 点火装置 爆発なし 危険等級1.1でない
シングルベース発射薬
(多孔状)
60 リットルファイバーボードドラム 点火装置 爆発 危険等級1.1候補