5 可燃性液体量確認
5.1 日的
引火性液体を含有する液体混合物の危険性を判断する要件の1つである可燃性液体の含有率が不明である物品について、その含有率を確認することを目的とする。
5.2 確認方法
(1)可燃性液体の含有率(可燃性液体量)
揮発成分の含有率から水分(引火点が100℃未満の場合に限る。)及び不燃性溶剤の含有率を除いたものを可燃性液体の含有率とする。
(2)揮発成分測定法
ア 引火点が100℃未満の場合は加熱残分の測定により揮発成分の含有率を求める。
イ 引火点が100℃以上の場合は減圧蒸留により揮発成分の含有率を求める。
(3)加熱残分測定法
ア蒸留を行う方法で測定することを原則とする。ただし、同法において75mL留出しない場合又は15秒で全ての残留物が蒸発皿に移らない場合には、イ蒸留を行わない方法で行うものとする。
ア 蒸留を行う方法
「塗料一般試験方法」(JIS K5400-1979)8.2.2に規定する試料の加熱残分の少ない場合の方法による。
イ 蒸留を行わない方法
「塗料一般試験方法」(JIS K5400-1979)8.2.1に規定する試料の加熱残分の多い場合の方法による。
(4)水分測定法
次のいずれかにより水分の含有率を求める。
ア ガスクロマトグラフ法
「ガスクロマトグラフ分析のための通則」(JIS K0144-1982)による。
イ カールフィッシャー法
「化学製品の水分試験方法」(JIS K0068-1966)2.1に規定する方法による。
(5)不燃性溶剤測定法
気化室付きガスクロマトグラフ法により不燃性溶剤の含有率を求める。
5.3 操作手順
(1)加熱残分の測定による揮発成分の含有率の測定
ア 蒸留を行う方法
- (ア) 試験物品をメスシリンダーで正確に100mL取り、蒸留試験に用いる蒸留フラスコに入れ、蒸留を行う。
- (イ) 75mL抽出した後、加熱を止めてフラスコを外し、フラスコを質量がわかっている蒸留皿の上に15秒間逆さに立てて残留物を蒸発皿に移す。
- (ウ) 蒸発皿を水浴の上で加熟して内容物の大部分を蒸発させてから温度105~110℃に保った乾燥器に入れて2時間加熱し、取り出してデシケーターの中で室温まで冷やす。
- (エ) 蒸留皿の増量を測定して揮発成分の含有率を求める。
イ 蒸留を行わない方法
- (ア) 試験物品約2gを質量のわかっているはかりビンに手早くとって質量をはかり、ガラス棒で底面に広げ、温度105~110℃に保った乾燥器に入れて3時間加熟し、取り出してデシケーター中で室温まで冷やした後、ふたたび質量をはかつて、はかりビンの中の残量を求める。
- (イ)加熱前のはかりビンの質量から加熱後のはかりビンの質量を引くことにより、揮発成分の含有率を求める。
(2)減圧蒸留による揮発成分の含有率の測定
- ア 試験物品約50gを200cm3の共通すり合せ丸底フラスコにはかり取る。
温度計及びかくはん器を取り付けた共通すり合わせK字形連結管、共通すり合わせ冷却器、共通すり合わせ減圧用アダプター、受器、圧力計、減圧装置等を用いて写真7・5のような装置を組む。
- イ 放熱を防ぐため、丸底フラスコ、連結管部をアルミ箔及びガラス繊維を用いて二重に保温する。
- ウ 丸底フラスコをシリコンオイルを用いた加熱浴中につけ、かくはんを始める。
- エ 室温で減圧を始め、系の圧力を1mmHgに保つ。徐々に加熱浴の温度を上げ(最高温度200±0.5℃とする)、蒸留を続ける。
- オ 留出が終了したら、残分を秤量し、揮発成分の含有率を求める。
(3)ガスクロマトグラフ法による水分及び不燃性液体の含有率の測定
- ア 試験物品を準備する。
- イ 水分及び不燃性液体の分析に適当なカラム、キャリヤーガス、検出器を選択し、カラム温度、気化室温度、検出器温度、ガス流量、感度を調節する。
- ウ 基線の安定度を確かめる。
- エ 適当な容量のマイクロシリンジを用いで試験物品を液体用試料導入部から速やかに導入する。
- オ 得られたクロマトグラムからピーク面積又はピーク高さを測定し、絶対検量法、面積百分率法、補正面積百分率法、内標準法又は被検成分追加法のいずれかによって定量を行い、水分及び不熱性液体の含有率を求める。
(4)カールフィッシャー法による水分の含有率の測定
次のいずれかの方法で滴定を行い、計算により水分の含有率を求める。
ア 直接滴定方法
- (ア) メチルアルコール25cm3を滴定フラスコにとり、カールフィッシャー試薬で終点まで滴定して滴定フラスコ内を無水の状態にする。
- (イ) 10~50mgの水が含まれるように、あらかじめはかった試験物品を速やかに加え、マグネチックスターラーでかき混ぜながらカールフィッシャー試薬で滴定する。
- (ウ) 滴定の終点は、目視法又は電気的方法による。
イ 逆滴定法
- (ア) メチルアルコール25cm3を滴定フラスコにとり、カールフィッシャー試薬で終点まで滴定して滴定フラスコ内を無水の状態にする。
- (イ) 10~50mgの水が含まれるように、あらかじめはかった試験物品を速やかに加える。
- (ウ)カールフィッシャー試薬を必要量よりさらに数cm3過剰に加え、その量を正しくはかっておく。
- (エ)その過剰量を水-メチルアルコール標準液で逆滴定する。
5.5 留意事項
混合組成が明らかなものについては、そのデータにより判断すべきものである。