本試験は、固体又は液体の物品の加熱分解の激しさを判断することを目的とする。
(1)圧力容器試験装置
圧力容器:ステンレス鋼製 内容量200cm3
シース熱電対を試験物質中に挿入できるように工夫されたものでもさしつかえない。
(2)破裂板
ゲージ圧で示す破裂圧力(6.0±0.5)×105Paの金属製(アルミニウム等)同一製作ロットについて、オリフィスを取り付ける開口部等から圧縮された不活性ガスを送り込み、破裂板の破裂圧力を事前に確認しておく。
ふっ素ゴム又はテフロン製等の耐熱性のパッキングをはさんで取りつける。
破裂圧力の確認試験の手順の例を示す。
ア 製作
(ア)使用する材料は、ALその他金属製のものを使用する。
(イ)ALの場合、「アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条」(JIS H4000-1988)に規定されているもの(例えば下記のもの)を使用する。
JIS記号 | 板厚 | JIS板厚公差 |
A1050 | H24 | 0.1t ±0.03(直径450以下の場合) |
ここでH24はJIS H0001(1979)に規定される質別記号であり、具体的には硬度を表わす。
公差は、-0.00とする。
(ウ)規定の寸法に仕上た後、360℃程度で約1時間焼鈍する。
イ 破裂試験
(ア)破裂試験は、本来流体だけでなく、温度等も可能な限り、実際に近い条件で実施すべきであるが、ここでは大気温度の空気を使用する。
(イ)同一板材から製作した破裂板について、下記数量を目安に抜き取り、試験に供する。
製作数 | 抜き取り数(試験数) |
11~50 | 4 |
51~100 | 6 |
101~500 | 8 |
501~1000 | 10 |
(ウ)加圧開始から破裂迄の時間は実際に即した昇圧速度を考え10~30秒とする。昇圧速度が早すぎると衝撃による脆性破裂を起こし、また昇圧速度が遅すぎるとクリープの影響で破裂圧力が低下する。
(エ)昇圧配管には、流量調節用の絞り弁等を取り付けておく。
(オ)使用する圧力計の最大目盛は、10×105Paで、一定期間ごとに較正したものを用いる。
ウ 試験結果の評価
抜き取った試験品の破裂圧力が、いずれも(6.0±0.5)×105Paの範囲に入った場合を合格とする。
(3)オリフィス板
細孔径1.0mm及び9.0mm、厚さ2.0mmのステンレス鋼製のもの。
ふっ素ゴム製又はテフロン製等の耐熱性のガスケットをはさんで取り付ける。
(4)試料容器
内径約30mm、高さ約50mm、厚さ約0.4mmの平面底のもので、かつ、上部開放のアルミニウム製の円
筒形のもの。
(5)加熱器
出力700W以上の電気炉。
温度調節計には、電圧計及び電流計を備えること。
(6)CAシース熱電対及び温度記録計
(7)化学はかり
原則として流通している形状のものを試験に供する。
(注)1回の試験に必要な標準使用量 50~100g
5g×(10~20)回=(50~100)g
(1)試験場所は屋外又は大気下の換気設備のある室内とする。
(注)圧力容器試験は、試験物品を分解させ、それによって破裂板を破壊させるというかなり危険を伴う試験法であり、その実験操作には、かなりの注意を必要とする。内部の試験物品が爆ごうした場合には、実験者に危害が及ぶので、電気炉にセットしたあとは、ビデオカメラによるモニター等の遠隔監視が必要である。室内で実施する場合は、簡易防爆壁等人的被害を防止できる設備を検討する必要がある。
(1)試験前の準備
ア 昇温速度の調節
イ 電気炉の加熱
あらかじめ所定の電圧、電流を少なくとも30分以上かけて加熱しておく。
(注)できれば1時間が好ましい。
(2)試験物品の測定
試験の安全を考え、細孔径9.0mmオリフィス板試験から始める。
ア 細孔径9.0mmオリフィス板試験
イ 細孔径1.0mmのオリフィス板試験
圧力容器の側面に細孔径1.0mmのオリフィス板を取り付ける。以下上記アの試験と同様な操作を行う。
(3)測定上の注意事項
(1)細孔径9.0mmのオリフィス板を取り付けて行った10回の測定において、破裂板が破裂した回数が5回(確率50%)以上のものを「ランク①」と評価する。
(2)細孔径1.0mmのオリフィス板を取り付けて行った10回の測定において破裂板が破裂した回数によって次のように評価する。
ア 5回以上のものは「ランク②」
イ 4回以下のものは「ランク③」