化学物質の爆発安全情報データベース

5 鉄管試験

5.1 試験の目的

 本試験は、粉粒状以外の固体物品の衝撃に対する敏感性を判断することを目的とする。
 (注)本試験の実施については、雷管、伝爆薬の貯蔵や譲り受けその他において火薬類取締法の適用を受けることとなる。

5.2 装置及び器具

(1)鉄管
  鉄管は、下ふた(溶接の場合には「配管用鋼製突合せ溶接式管継手」(JIS B2312-1986)に規定する材質がPG38またはPS42の呼び2Bのキャップ、ねじ止めの場合には「機械構造用炭素鋼鋼材」(JIS G4051-1979)に規定する材質がS25Cで、外径76mm、高さ42mm、底の板厚16mmのキャップ)を取付けた鋼管(材質が、「圧力配管用炭素鋼鋼管」(JISG3454-1984)に規定するもので、呼び径50A、呼び厚さスケジュール60で、長さが500mmの継目無鋼管)とする。

(2)プラスチック製袋
  鉄管の内部に挿入できる大きさのもの。
  例えば、外径50mm、厚さ0.06mm、長さ550mmのポリエチレン製の袋

(3)伝爆薬                   
  トリメチレントリニトロアミン(RDX)とワックスとの重量比19:1に混合したものを1530kgf/cm2の圧力で、直径30mm、高さ45mmの円柱状(中央に六号電気雷管を挿入するための穴が開いているもの)に圧縮成型した50gのもの。

(4)六号電気雷管
  「電気雷管」(JIS K4807-1981)に規定する電気雷管

(5)ねじ止め上ふた
  「ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手」(JIS B2301-1988)に親定する呼び2Bのキャップ

(6)網ふるい
 「標準ふるい」(JIS Z8801-1987)に規定する網ふるいで、次の目開きのもの
 ① 目開き 1.18mm (約14メッシュ)
 ② 目開き  53μm (約280メッシュ)

(7)乾燥器用シリカゲル入りデシケーター

(8)化学はかり
試験器具及び可燃性物質

5.3 セルロース粉

(1)セルロース紛
  網ふるい(目開き53μm)を通過するもの。

5.4 セルロース粉の調整

(1)網ふるい(目開き53μm)の下に適当な容器を置き、ふるいの上にセルロース粉を置く。

(2)ふるいに振動を与え、ふるい分け操作を行う。
  (注)操作は「化学製品のふるい残分試験法」(JIS K0069-1966)3.1乾式によるふるい分け方法を参照のこと。

(3)容器にたまったセルロース粉は、容器ごとデシケーター中に温度20±5℃で24時間以上保存する。
 (注)1回の試験に必要な標準使用量100~500g程度(試験物品の密度により異なる)
 (注)乳ばちで粉砕する場合は、衝撃を与えないよう静かにすりつぶすこと。

5.5 試験物品の調整

(1)原則として、流通している形状のものを使用する。ただし、棒状等で鉄管に入らない場合には適当な大きさに分割する。

(2)試験物品はデシケーター中に温度20±5℃で24時間以上保存する。

5.6 試験場所

 爆発実験室等、砂中に鉄管を埋めることができる安全な場所とする。また、試験後、試験物品の分解ガスを排気するための換気設備のあるところが望ましい。

5.7 試験方法

(1)試験方法
 ア 溶接またはねじ止めの下ふたを取り付けた鉄管に、プラスチック製の袋を入れる。
 イ 試験物品及び可燃性物質を重量比で3:1となるように混合する。
 (注)ここで、鉄管の内容積は約981cm3であるため、試験物品の比重を測定して、その総重量を概算すること。
 ウ プラスチック製袋に混合した試験物品を充填する。ここで、充填は鉄管上端から約40mm下までとする。
 エ 伝爆薬を挿入し、上ふたを取り付ける。
 オ 上ふたの孔から伝爆薬の穴に、六号電気雷管を挿入する。
 カ 鉄管を砂中に埋めて起爆する。
 キ アからカまでの操作を3回繰り返し、鉄管が破裂するか否かを観察する。

(2)破裂の定義
   鉄管が完全に破裂することとは、鉄管が上端から下端まで連続して裂けることをいう。

鉄管に伝爆薬を装入する 完全に破裂した鉄管 上部のみ破裂した鉄管
5.8 試験結果の評価

(1) 3回の試験のうち1回以上鉄管が完全に破裂した場合、危険性有りと評価する。
(2) 3回の試験においていずれも鉄管が完全に破裂しなかった場合、危険性なしと評価する。