化学物質の爆発安全情報データベース

第2章 各類ごとの試験方法

第1節 第1類の試験方法

1 試験方法と評価手順の概要

 第1類の危険物(酸化性固体)に該当するか否かを判断する試験として、粉粒状の物品(粉状又は粒状の物品)に適用される「試験Ⅰ」及び粉粒状以外の物品(成型品等)に適用される「試験II」が規定されている。

1.1 試験の適用について

 粉粒状確認(第3章第2節参照)において確認された試験物品の状態に応じ、次のとおり「試験Ⅰ」又は「試験II」を適用する。

(1)粉粒状の試験物品については、「試験I」を適用する。
(2)粉粒状以外の試験物品については、「試験II」を適用する。
 (注)成型品は通常の輸送・取扱条件のもとでその形状が維持されるよう成型されているので、成型条件により、粉粒状か否か明らかである場合には、粉粒状確認を実施しなくてもよい.

1.2 「試験Ⅰ」について

 「試験Ⅰ」は、次の2つの試験を実施し、その結果に基づき危険性の評価を行う。

(1)燃焼試験(酸化力の潜在的な危険性を判断するための試験)
  ア 標準物質(臭素酸カリウム、過塩素酸カリウム)と木粉との混合物を燃焼させ、燃焼時間を測定する。
  イ 試験物品と木粉との混合物を燃焼させ、燃焼時間を測定する(燃焼しないことの確認を含む。)。
  ウ アとイの結果を比較し、試験物品の危険性をランク①、ランク②、ランク③の3段階に区分する。
(2)落球式打撃感度試験(衝撃に対する敏感性を判断するための試験)
  ア 標準物質(塩素酸カリウム、硝酸カリウム)と赤りんとの混合物に鋼球を40回以上落下させ、50%爆点(50%の確率で爆発を起こす高さ)を求める。
  イ 試験物品と赤りんとの混合物にアで求めた50%爆点より鋼球を10回又は40回落下させ、爆の発生回数を求める。
  ウ イの試験に基づき、試験物品の危険性をランク①、ランク②、ランク③の3段階に区分する。

(3)危険性の総合評価
  (1)及び(2)における試験結果に基づき、表1・1により、試験物品の危険性を総合的に評価する。

表1・1 試験Ⅰの評価表
燃焼試験
ランク_1 ランク_2 ランク_3
落球試験 ランク_1
ランク_2 II III
ランク_3 III

Ⅰ: 第1種酸化性固体(指定数量 50 kg)
II: 第2種酸化性固体(指定数量 300 kg)
III: 第3種酸化性固体(指定数量 1.000 kg)
非: 第1類の危険物に該当しない

1.3 「試験II」について

 「試験II」は、次の2つの試験を実施し、その結果に基づき危険性の評価を行う。
(1)「大量燃焼試験」(酸化力の潜在的な危険性を判断するための試験)
  ア 標準物質(過塩素酸カリウム)と木粉との混合物を燃焼させ、燃焼時間を測定する。
  イ 試験物品と木粉との混合物を燃焼させ、燃焼時間を測定する(燃焼しないことの確認を含む。)。
  ウ アとイの結果を比較し、試験物品の危険性の有無を評価する。
(2)「鉄管試験」(衝撃に対する敏感性を判断するための試験)
  ア 試験物品とセルロース粉との混合物を起爆し、鉄管の破裂の程度を観察する。
  イ アの結果に基づき、試験物品の危険性の有無を評価する。
(3)危険性の総合評価
 (1)及び(2)における試験結果に基づき、表1・2により、試験物品の危険性を総合的に評価する。

表1・2 試験IIの評価表
大量燃焼試験
危険性あり 危険性なし
鉄管試験 危険性あり III
危険性なし III

*: 「試験Ⅰ」を実施した結果に基づき評価された危険性
   (注) 「試験Ⅰ」は試験物品の粒度を調整して実施する。
III: 第3種酸化性固体(指定数量 1.000 kg)
非: 第1類の危険物に該当しない

1.4 留意事項

(1)「試験Ⅰ」において、燃焼試験又は落球式打撃感度試験のいずれか一方の試験で「ランク①」と評価された場合には、「第1種酸化性固体」と判断し、他方の試験を省略してさしつかえない。
(2)標準物質の試験は、測定日、測定者又は混合比の異なるごとに行う。
(3)「試験II」を適用すべき試験物品について、粉砕して「試験Ⅰ」を実施した場合には「試験II」を実施せず、「試験I」の結果に基づき危険性を評価してさしつかえない。