化学物質の爆発安全情報データベース

15.4 シリーズ5 タイプ (a) 試験規定

15.4.1 試験5 (a) : 雷管感度試験
15.4.1.1 はじめに

この衝撃試験は、激しい機械的刺激に対する物質の感度を判定するために用いられる。

15.4.1.2 装置および材料

雷管感度試験の試験装置を、図 15.4.1.1 および図 15.4.1.2 に示す。装置は最小径 80 mm、最小長さ 160 mm、最大肉厚 1.5 mm のボール紙筒でできており、試料を保持するのにちょうど十分な膜で底を閉じる。激しい機械的刺激は、紙筒の中の爆発物の上部中央に、その長さと同じ深さに差し込まれた標準雷管(付録1参照)により与えられる。紙筒の下には厚さ 1.0 mm、160×160 mm の鋼板でできた証拠板を置く。証拠板は、高さ 50 mm、内径 100 mm、肉厚 3.5 mm の鋼製リングの上に置かれている(図 15.4.1.1 参照)。代替方法としては、直径 51 mm、長さ 102 mm の普通の(軟質)鉛製シリンダーを用いてもよい(図 15.4.1.2 参照)。装置は、厚さ 25 mm、一辺 152 mm の正方形鋼板の上に置く。

15.4.1.3 手順

試験試料は3回に等分して紙筒に充填する。自由に流動する粒状物質は、各増分を充填した後、紙筒を 50 mm の高さから垂直に落として固める。ゲル状物質は、空隙ができないように注意して詰める。どの場合でも、筒の中の爆発物の最終密度は、運搬時の密度にできるだけ近づける。直径 80 mm 以上のカートリッジに詰めた高密度の爆発物の場合は、元のカートリッジを使用する。元のカートリッジが大きすぎて試験に不便なときは、長さ 160 mm 以上の部分を切り取って使用する。その場合、雷管はカートリッジの切断で物質が乱されていない端に挿入する。温度により感度が影響される爆発物は、試験前に少なくとも 30 時間、28-30℃の温度で保管する。粒状硝酸アンモニウムを含む爆発物で、周囲温度の高い地域を輸送される場合は、試験前に 25℃→40℃→25℃→40℃→25℃の温度サイクル試験をする。紙筒を証拠板と鋼製台板の上に置き、標準雷管を爆発物の上部中央に挿入する。安全な位置から雷管に点火し、証拠板を調べる。物質の爆轟が起こらなければ、試験は3回行う。

15.4.1.4 試験判定基準および結果査定方法

いずれかの試験で以下の状態になった場合、試験結果は“+”とし、その物質は危険等級 1.5 には分類されない。

  1. 証拠板が裂けるか貫通する(つまり板を通して光が見える)-証拠板の膨れ、亀裂または折れ曲がりは雷管感度が高いとはみなさない。
  2. 鉛円筒の中央が、最初の長さから 3.2 mm 以上圧縮される。

その他の場合には、結果は“-”とする。

15.4.1.5 試験結果例
物質 密度(kg/m3) 所見 結果
硝安(プリル)+燃料油 840-900 受入状態
   〃   750-760 温度サイクル2回
硝安+TNT+可燃物 1030-1070 受入状態
硝安(プリル)+DNT(表面) 820-830 受入状態
800-830 40℃、30時間
硝安+DNT+可燃物 970-1030 受入状態
 〃  780-950 受入状態
硝安+可燃物 840-950 受入状態
 〃 620-840 受入状態
硝安+アルカリ金属硝酸塩
+アルカリ土類金属硝酸塩
+アルミニウム+水+可燃物
1300-1450 受入状態
1130-1220 受入状態
硝安+アルカリ金属硝酸塩
+硝酸塩+TNT+アルミニウム
+水+可燃物
1500 受入状態
1130-1220 受入状態
硝安/メタノール (90/10) プリル - -
硝安/ニトロメタン (87/13) - -
ANFO (94/6) プリル - -
ANFO (94/6), 200 μm - -
TNT, 粒状 - -

図 15.4.1.1: 雷管感度試験装置(鋼製証拠板使用)
雷管感度試験装置(鋼製証拠板使用)


(A) 雷管 (B) スパイラル巻きボール紙筒
(C) 試験試料 (D) 普通鋼板の証拠板
(E) 鋼輪

図 15.4.1.2: 雷管感度試験装置(鉛円柱証拠板使用)
雷管感度試験装置(鉛円柱証拠板使用)


(A) 電気雷管 (B) ボール紙筒 8.6 cm 径×12.6 cm 長
(C) 試験試料 (D) 鉛円筒
(E) 鋼板 15×15×2.5 cm (F) 木製ブロック