化学物質の爆発安全情報データベース

13.4 シリーズ3 タイプ (a) 試験規定

13.4.5 試験3(a)(ⅴ): 改良12型打撃具
13.4.5.1 はじめに

この試験は、固体および液体の、落つい衝撃に対する感度を測定し、その物質が、試験された状態で輸送するには危険すぎるかどうかを判定するために用いられる。2つの異なる試料装置を用いることにより、固体および液体に適用できる。

13.4.5.2 装置および材料

以下の装置および材料が必要である:

    (ⅰ) 落錘 1.0, 1.5, 1.8, 2.0 kg と中間錘 1.5 kg
    (ⅱ) 落下錘 1.0, 2.0 kg と中間錘 2.0 kg
    (ⅲ) 落下錘 2.5, 5.0 kg と中間錘 2.5 kg

13.4.5.3 手順

13.4.5.3.1 固体

 中間錘を上げる。30±5 mg の試験試料をアンヴィルの中央に積み重ねて置く(より感度の低い物質については、30±5 mg の試験試料を正方形のガーネット紙上に置き、そのガーネット紙をアンヴィルの上に置く)。次に中間錘を注意してアンヴィル上の試料の上に下げる。落錘を 36.0 cm (落高さ対数級数の中間の高さ)まで上げ、中間錘の上に落ちるように放す。中間錘を上げる。試料が可聴爆発音を立てて反応するか、煙やにおいが発生するか、目に見える発火の証拠があれば、テストはプラスと評価される。どのような反応が起こったかに注意する。表面を布でふき取る。ブルーストン法(補遺2参照)を適用するための最初の落高は、正と負の結果をもたらす最も近い落高間の内挿法によって、それらが隣接したレベルで起こるように定められる。次に常用対数間隔 0.093で、 ブルーストン法を用いて高さを選定し、次のような一連の落高:6.5, 8, 10, 12, 15, 19, 24, 29, 36, 45, 55, 69, 85, 105, 131, 162, 200 cm で2回試験を行う。補遺2に述べる手順によって得られる結果から、メジアン落高が求められる。ガーネット紙を使わない、1.8 kg の落錘と 1.5 kg の中間錘の組み合わせが、その物質が RDX より感度が高いか低いか判定するのに最適であることがわかっている。

13.4.5.3.2 液体

 O リングをキャップに挿入し、タンピングして底まで下ろす。試験試料 25μl(注2) を注入器を使ってキャップの中に入れる。ステンレス鋼ディスクを O リングの上に置く。中間錘を上げ、キャップ組立品をアンヴィル上に置く。中間錘を注意して下げ、キャップの中にはめ込み、 O リングを圧するようにする。落錘を上げ中間錘の上に落ちるように放す。中間錘を上げる。試料が可聴爆発音を立てて反応するか、煙やにおいが発生するか、目に見える発火の証拠があれば、テストはプラスと評価される。どのような反応が起こったかに注意する。13.4.5.3.1 で述べた手順で初期高さを設定する。試験は 25 回行い、補遺 2 に述べる手順でメジアン落高を求める。落錘 1.0 kg と中間錘 (液体試料用に設計された)1.5 kg の組み合わせが、その物質が硝酸イソプロピルより感度が高いか低いか判定するのに最適であることがわかっている。

注2: 試料容積と液体の感度の関係は、その液体に特有な関数である。この手順で定められた容積は相対感度を測定するのに適している。感度と試料容積の関係の測定は、その物質についてのより詳細な情報が必要な場合行うべきである。

13.4.5.4 試験判定基準および結果査定方法

13.4.5.4.1 試験結果は、以下の基準により判定する:

H50 の決定に使われた統計値の詳細と標準偏差は補遺2を参照のこと。

13.4.5.4.2 固体

 メジアン落高(H50)が乾燥 RDX のそれと同じかそれより小さい場合は、結果は“+”とみなされ、その物質は試験された形態で輸送するには危険すぎると判断される。メジアン落高(H50)が乾燥 RDX のそれより大きければ、結果は“-”とみなされる。

13.4.5.4.3 液体

 メジアン落高(H50)が硝酸イソプロピルのそれより小さい場合は、結果は“+”とみなされ、その物質は試験された形態で輸送するには危険すぎると判断される。メジアン落高(H50)が硝酸イソプロピルのそれと同じかそれより大きければ、結果は“-”とみなされる。

13.4.5.5 試験結果例

13.4.5.5.1 固体

物質

メジアン落高(cm)

結果
落錘 1.8 kg, 中間錘 1.5 kg, ガーネット紙なし
PETN(超微細)
15
+
RDX グレード1
38
+
RDX/水 (75/25)
>200
-
テトリル
>200
-
TNT (200 メッシュ)
>200
-
落錘 2.5 kg, 中間錘 2.5 kg, ガーネット紙あり
PETN(超微細)
5
+
RDX (Cal 767)
12
+
テトリル
13
-
TNT (200 メッシュ)
25
-

13.4.5.5.2 液体

物質
メジアン落高 (cm)
結果
落錘 1.0 kg, 中間錘 2.0 kg
硝酸イソプロピル(99 %, b.pt. 101-102 ℃)
18
-
ニトロメタン
26
-
TEGDN
14
+
TMETN
10
+
TEGDN/TMETN (50/50)
13
+

 

図 13.4.5.1: 改良12型打撃具(全体、頂部、拡大図)

fig_13_4_5_1


(A) 電磁石
(B) 落錘(例:2.5 kg)
(C) 中間錘(例:2.5 kg, 直径 32 mm)
(D) アンヴィル(打撃面直径 32 mm)