化学物質の爆発安全情報データベース

1 . 2  装置概要

1) DTA

簡単には、試料と基準物質を同一の熱的条件で加熱あるいは冷却し、両者の間に生じる温度差ΔTを温度T に対して記録する。DTA装置原理の概略図を図に示す。温度差ΔTは試料と基準物質に熱電対を密着させ、両者の温度差に比例する熱起電力を測定することによって得る。

例えば、試料が測定の温度範囲で融解した後、発熱反応を起こすとする。電気炉温度を一定速度φ(dTw /dt)で変化させると、試料、基準物質は電気炉内に同一の条件でおかれているため、各々の温度Ts (試料温度)、Tr(基準物質温度)、電気炉温度(Tw)はFig.2上のごとく示される。物質が融解する時には、試料は融解熱を必要とするため熱を外部から吸収する。即ち、試料側の温度上昇は融点で遅くなり、基準物質に対する温度差は大きくなっていく。融解が終了すると、Δ Tは再び基線に戻る。その後、発熱反応の際には、試料は外部に熱を放出するため、基準物質の温度に対してプラス側に高くなり、反応が終了すると再び基線に戻る。Δ TはTs(試料温度)からTr(基準物質温度)を引いた値となる。このように、DTAは基準物質と試料を同じ条件で加熱し、その温度差を測定する方法であり、状態変化の開始温度、ならびに熱の出入りを知ることができる。

Fig. 1 DTA装置
Fig. 1 DTA装置
Fig. 2 時間に対する温度、ΔT変化
Fig. 2 時間に対する温度、ΔT変化
Fig. 3 時間に対する重量変化
Fig. 3 時間に対する重量変化

1.1で述べた熱分析法の種類である熱重量測定(TG)は、Fig.1におけるセルに天秤ビームが接続されたもので、測定中の試料の重量変化を検出する。例えば、 Fig.2の例、融解した後に発熱反応となる場合、Fig.3に示すような重量減少率(Weight loss)曲線が描かれる。即ち、融解時には重量には変化が認められないが、発熱分解時に重量が減少する。通常は時間に対するΔ Tの変化と重量変化から状態変化を観察する。