過塩素酸アンモニウム NH4ClO4 (危)

代表的な酸化剤。カーリットの原料として有名。特に玩具煙火用としてその大半が使用される。
 近年はマグネシウム粉と混合して硫酸塩を加え、紅、緑等の光を出して点滅する合剤として使用される。ただし、重クロム酸カリウムを外割5%以上混合しないと、自然発火のおそれがある。
 固化するのり剤や水溶性ののり剤は使用できない。
 主な性質は次のとおり。

  1. この薬品は水に溶けやすく、それ自体吸湿性はないといわれている。市販のものは僅かに吸湿性があって、吸湿により固まるのが欠点である。使用に当たっては固化防止剤(木粉等)を混合して、固化によって生ずる速燃を防止する工夫が必要である。
  2. 硝酸塩とくに硝酸カリウムとの混合または接触については、硝酸カリウムの性質“3”を参照し、塩素酸塩との混合はしてはならない。
  3. この薬品はマグネシウム粉と混合すると、極めて発熱しやすい。マグネシウムとやや同性質のマグナリウム粉との混合も当然避けるか、発熱防止の方法を工夫して使用する必要がある。
  4. この薬品は分解してすべて気体になる。煙火用の酸化剤としては特徴のある性質である。これを主剤とする炎色剤は、煙によって仕掛けの文字等が見にくい等の不利をなくすことができる。ただし空気中に水分の多い場所等では、燃焼ガスが水滴を作り、濃霧となて、他の配合剤の煙と同様の悪影響を及ぼすことがある。
  5. この薬品の分解は発熱反応であって、同じ過塩素酸塩でも過塩素酸カリウムとは違う性質である。また摩擦、衝撃等についても、過塩素酸カリウムよりも注意をしなければならない。