アルミニウム粉末は製造方法により、鱗片状のものと粒状のものがある。
鱗片状のものはステリアン酸等で被膜してあるのが普通で、比較的細粉のものが造りやすく、一般には塗料用として多く使われ、煙火用に使われるものもこれである。
粒状のものは通常、酸化防止のための処理はなされていないが、自然にできた酸化アルミの被膜は相当に強く、煙火の原料火薬用に使用した場合はむしろステアリン酸せ被膜されたものより良い結果が出ている場合もあり、アトマイズ方式(アルミを熔解して液状にし、ノズルから吹き飛ばすことによりアルミは球状になり、吹き飛ばされた距離によって粒度を分ける方法)で製造され、分けられた粒度は300メッシュより細粉になったものもある。
鱗片状のアルミの粒度と粒状アルミの具合をよく調べて粒状アルミを使用すれば、配合混和作業の段階で銀粉が飛散することもなく、作業者がよごれず、粉塵による爆発の危険を防止することができる。
アルミニウム粉の使用上の注意
- アルミニウム粉は細粉になるほど鋭敏になり、酸化剤の種類に関係なくアルミニウム粉を含有する合剤は、摩擦および衝撃感度が鋭敏になる。
- アルミニウム粉は火花剤、発光剤または爆音剤等に広く使用されるが、その合剤を固めるのに水溶性のり(みじん粉、澱粉のり等)を使用したとき、完全に乾燥しないものは発熱、発火することがあり、特に大きい打上煙火(10号玉等)の星または昇りぼく等が乾燥中に発火した例もある。また、乾燥したと思われるものや雷薬等を通気性のない容器または袋等に入れて長時間放置し、発火した例も多い。
- 酸化剤とアルミ粉を主とする爆音薬は、煙火の玉皮等に入れて雷球にすると、雷巻き作業の名人は不要になる。この系の爆薬は強く固めないのがよく、外側を固めるのが良い雷球を造る。
- 粒状のアルミニウム粉は、粒度が小さくても球状をなしているので、その質量は大きい。煙火用の滝等に使用すれば相当高いところから火花を落としても、よい火の粉を地表に届かせることができる。
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